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AED 30.00

ISBN: 978-9948-846-30-7

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18 5月 2020

特務機関 ムスリム同胞団 誕生..目的..発展

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ムスリム同胞団の特務機関は、いくつもの思想的構造の上に
成り立っており、あらゆるレベルで組織の目的を達するため
に、力の果たす役割を重視するという、組織創設者ハサン・
バンナーの一連の姿勢を表している。
-ムスリム同胞団の特務機関の結成は(エジプト)国内の状況、
地域・国際的な情勢を反映したものである。しかしそれは、
この帰還が権力奪取計画を実行する手段であることを否定し
ない。
– ハサン・バンナーとサイイド・クトゥブの思想は今も、現代
の暴力組織、アルカイダからイスラム国/ダーイシュに至る
様々な組織を正当化する根拠となっている。
– 特務機関はジハードの原則を採用しているが、それにもかか
わらず、イスラム主義的ではない他の運動の思想や手法の源
泉にもなっている。 それは、当時の西欧政治のイデオロギ
ーの一部を特徴づけていたファシズムやナチズムの軍事組織
に相当するものと理解できる。
– 権力への到達と“イスラムのカリフ制国家”樹立を追及する
ことがムスリム同胞団の思想の柱である。それがイスラム教
のシャリーアに基づく神の統治の実践を実現する唯一の方法
であり、そのことは、力の行使とそのための準備なくしては
成功しないとの見立てである。
– 特務機関は、秘密の活動に参加する者同士の直接・間接の継
続的な関係を通じて網状に連なった一定の組織体のようなも
ので、小人数からなる各細胞のメンバーは、自分の属する細
胞のメンバー以外は知らない。
-ムスリム同胞団は敢えて、その特務機関の存在を秘密にした。
民衆を惑わし、作戦の進行や指令を指導部が確実に統率する
ためである。重要な情報を隠すことで、それについて説明や
正当化は不要となり、疑念、非難、不興を避けられる。
– 特務機関の活動は、時代の状況によって活発化したり、落ち
込んだりした。ある時期には圧力や困難に直面して、ムスリ
ム同胞団と政府との間に一定の協力がみられ、そうした時期
には特務機関の役割は低下した。逆に、政府の関係が緊張し
た時期には、特務機関の活動は活発化し、ムスリム同胞団は
地下活動に訴えた。1960 年代の治安機関による取り締まりの
結果、それは「65 年組織」という形で現れ、この集団はサイ
イド・クトゥブの思想を実践した。
– 特務機関は、エジプト外では、パレスチナで軍事活動に参加
し、また、エジプトではイギリスを標的とした。そのことが、
ムスリム同胞団内の特務機関に“抵抗運動”という正当性や、
政治・治安面の影響力を与えた。
– 1940、50 年代において、ムスリム同胞団の特務機関は、政治
家や治安機関幹部を標的とした暴力活動への関与を通じて政
敵と対決する手段であった。
– “特務機関の忠誠”は、忠誠心を根付かせ、困難に立ち向か
い、世界でイスラムの統治を実現するという組織の戦略的目
標を達成するための力を増した。
-エジプトの特務機関の経験は、他のアラブ諸国のいくつも
のムスリム同胞団支部にインスピレーションを与え、シリア、
リビア、スーダン、イラク、パレスチナ、イエメンの各支部
が、自国や地域で権力を握り、イスラムの統治を課す目的か
ら軍事部門を創設した。
– ムスリム同胞団と現代のジハード主義諸組織の間には、絡み
合い、関わり合いがある。ジハード主義諸組織はその思想を
ムスリム同胞団のイデオローグであるサイイド・クトゥブか
ら吸収した。このため両者間には戦略的な共通性がある。
– ムスリム同胞団のプラグマティックな政治的選択により、そ
の本性を隠しつつ、状況や勢力バランスに応じて段階的な暴
力を行使する大きな余地を得た。
– エジプトの特務機関の目標は、イラン革命防衛隊の目標と非
常に類似している。両者とも、軍事力に加え、治安上、組織
的、社会的、経済的といった他のあらゆる手段、ソフトパワ
ーを駆使して目的を達成しようとする。両者は、体制を転覆
し、政府を支配して、カリフ制/世界的なイスラム政府の樹
立に至るために、宗教的信念利用する。
– エジプトにおける2013 年6 月30 日革命の後、ムスリム同胞
団は、暴力を伴う激しい分裂に見舞われた。圧力に立ち向か
って組織を守るためには暴力も用いるべきだとするクトゥブ
派の特務機関と、組織に対する圧力を収拾するためにこの段
階では平和的手段を採用すべきとする改革派の間で、である。